市丸博司のPC競馬ニュース 谷川善久の枠内駐立不良につき
 第590回 2012.01.30

小ネタ集〜サンデル教授とAKB48


 遅ればせながら、昨年NHKで放送された『ハーバード白熱教室』をハードディスクから呼び出してチョコチョコと観ている。その名の通り、ハーバード大学でおこなわれている授業(講義)を収録したもの(全12回/24コマ)。教えるのは政治哲学者のマイケル・サンデル教授で、「正義」がテーマ。結構話題になったので、ご存知の方も多いに違いない。当方、ベストセラーとなった書籍版も持っているのだが、そちらは未読。まずはTV版を観てからジックリと読もうと思っている。

 正直、講義の形態がちょっとマズイ……時おりサンデル教授から指差された生徒が質問に答える(自分の意見を披露する)のだが、各人に与えられた時間が短いせいか、それとも「哲学的思考」に慣れていないのか、論理だって回答・説明・弁論できる人がほとんどおらず、「天下のハーバード大生っていっても、中学生レベルじゃん」と感じてしまう……ため、イラっとさせられることも多いのだが、扱っているテーマそのものは興味深く、教授の話&話術もユニークであり、なかなか考えさせられる=知的好奇心や思弁意欲をそそられて、面白い。
 いまんところ、大勢を助けるために一部を犠牲にすることは道徳的に正しいのか、といった点が軸となって講義が進められているのだけれど、「ああ、そういう見方もできるのか」とか「こういう手法もあるのか」とか感心しつつ、自分なりの道徳心というものを問い直したりしながらの鑑賞である。

 仕事柄、というか、性格上、というか、長年のクセ、というか、新たな“モノの見方”に触れると、どうしても「これを競馬に応用できないものか」と考えてしまう。哲学とは、人の生き方そのものに関する学問。政治哲学とは、よりよい社会を作るために必要な思考や手法を学ぶもの。にもかかわらず、「ここから得たヒントを、競馬の見方や予想に生かそう」としてしまうのだ。
 たとえば「人の好みや価値観を含むすべてのものごとを、量的な数値に置き換える」という考え方。ちゃんと理解している自信はないので説明できるかどうか心許ないけれど、仮に100人に「ステーキや焼肉、ハンバーグなどの肉料理と、寿司や刺身などの魚料理、どっちが好きか?」、「この世で最高の肉料理(または魚料理)に、いくら払えるか?」と訊いたとして、その結果(たぶん肉料理を好む人が多く、値段も高くつけられるのだろう)をもとに、「肉の価値が100としたら魚は50」などとしてしまうわけだ。
 この手法を応用すれば、さまざまなレストランのディナーコースを、使われている素材などをもとに数値化し、出てきた数値と金額とを比べることで「どれがより価値のある食事か」などと判断できる、ということにもなる。

 競馬に転用するとしたら、どうだろう。
 僕らは競馬に関わるさまざまなファクターがどれくらいそのレースにとって重要か、日常的に、データを取ったり予想に生かしたりしている。その際の手続きに生かせるかも知れない。たとえば、種牡馬、騎手、調教師などについて、各コース・各条件で残してきた成績を集計し、「そのコース・条件において、どれだけ価値のある存在か」を数値化する。たぶん「この距離、サクラバクシンオー産駒にはちょっと長いんだよな」とか「このジョッキー、中央場所だと成績は下がるんだよ」などと、勝率・連対率や回収率をもとに判断している人は多いはず。これをさらに進めて、ズラっと並べるだけで「今回の条件で、どれくらい価値のある存在か」を比較できるようなカタチで数値化・リスト化しておけば、予想に役立てられるんじゃないだろうか。
 「そのコース・条件における各馬の種牡馬ポイント+母父ポイント+騎手ポイント+厩舎ポイント」と、「そのコースにおける枠順ポイント+脚質ポイント」を合計することで、1頭1頭の有力度が見えてくるかも知れない。

 いや、上手く行くかどうかはわからないけれど、こうして「いままで自分の中になかった考え方を、自分なりに消化して、別の分野(ここでは競馬)に生かす」ことって、人として、かなり重要なことなんだと思う。
 少なくとも競馬(予想)は「思いつきと、思い込みと、思い違い」を繰り返すスポーツ/行為なんであって、いろんなことにチャレンジしてみるのが正解だろう。

 寝室のテレビに内蔵されているハードディスクには、毎日or毎週定期的に予約録画している番組もいくつかある。『0655』、『世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?』、『ナダールの穴』、『ロケみつ』、『世界は言葉でできている』、『イラ韓』、『さまぁ〜ず×さまぁ〜ず』、『ゴッドタン』あたり。って、早朝と深夜オンリー、見終わった瞬間に内容を忘れそうなバラエティばかりだな。これらを、寝る前とか、ベッドから置き出す前に、嫁といっしょに観るのが習慣。よって『おねマス』は断念しているのだが、AKB48関連の番組はしっかりと予約してコッソリ観ている。
 2010年7月の当コラムでは「正直、私のようなおっさんには、飛び抜けたアイドル性を発揮しているコはいないように思える。っていうか、みんな同じ顔に見える。アイドリング!!!とシャッフルされたら分けることは不可能だ」と書いたAKBだが、さすがにここまで露出が増えると(白状すれば、熱心に出演番組を観るようになると、だけれど)、それぞれの個性もわかってくるし、顔と名前とキャラクターが一致するメンバーも増えてきた。といっても、確実なのは総選挙上位22人くらいまでか。それ以下のメンバーだと10人ちょっとかなぁ。あと、SKE、NMB、乃木坂だと各3〜4人くらい、HKTとJKTはさすがにノータッチ。ま、全部あわせれば軽く200人を超えるんだから、割合としては10〜20パーセントくらいか。40代半ばのおっさんとしては上出来だろう(気持ち悪がられるだろうから誰推しかは秘密。あ、秘密にする方がキモイか)。

 年間、JRAの平地のレースに出走するのは実数で約1万頭。掲示板に載った馬だけでも6000頭くらいいて、勝ち馬だけに絞ったとしても2500頭くらいになる。これらすべての名前と勝ち鞍、脚質・レースぶり、血統、馬体の特徴を把握している人が、果たしてどれくらいいるだろうか。せいぜい重賞クラス、それも勝ち負けになる馬を「なんとなくイメージできる」のが関の山だろう。
 私の場合、重賞の回顧記事などを書く機会も多いけれど、それでもローカルのGIIIをポンと1回勝っただけの馬なんて、記憶の片隅に残るか残らないか。「重賞で馬券の対象になった現役馬」だと400頭を切るのだが、これらについてすべてイメージできるかといえば、そんなの無理。率でいえば現役馬約7000〜8000頭のうち5パーセント。AKBグループの主要メンバーを把握するのと比べると割合的には低いけれど、400頭も頭の中にキープしておくことは困難だ。
 それを補うためにデータベースがある。が、あるとはいえ、やはり、できるだけ多くレースを観て、できるだけ多く「その馬のベストパフォーマンス」に触れて、さらには各競馬場・各距離の「典型的なレース」も頭に叩き込んで、レース全体&出走馬の走り全体をイメージできるようにするべきなんだろう。

 そのためにも注文をつけたいのが、各競馬場の中継カメラの位置だ。
 スタンドの形状、カメラの設置スペース、スタンドとコースとの間隔、直線の距離、右回りと左回り、中継技術……。競馬場ごとに差があるのは仕方のないことではある。が、どうもアングルやズームの率が違いすぎて、「東京で走ったA馬」と「阪神で走ったA馬」の走り/映像がダイレクトに結びつきにくい。
 印象として、左回りの各コース(東京、新潟、中京)は似たような高さ・角度で映してくれていて、勝ち負けに絡んでくる馬を等しく俯瞰で見せてくれるのだけれど、右回りコースは競馬場によって極端に低い位置からだったり遠めからだったりクローズアップしすぎたりと、バラバラの印象。おかげで、1頭の馬に関して「このあたりから脚を使い始めて、これくらい切れる(粘る)」というイメージを、自分の中にスッキリとまとめられないでいる。
 そのせいで予想も当たらないんだと、責任を転嫁したくなる。

 できれば各競馬場とも、体感的・視覚的に同じくらいのアングルとフレーミングとズーム率でレースを見せて欲しいものだ。「競馬場ごとの見た目的な個性」は多少犠牲になるとしても、共通性を確立することで、こんどは「競走馬の個性」が際立ってくるのではないだろうか。
 好みとしては、阪神ゴール前あたりの低っくい位置からの映像より、東京型をリクエストしたい。





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