小ネタ集〜レンタルとモバイルとインターフェース
全国どこでもそうなのかも知れないが、うちの近所のレンタルDVD店(某チェーン)には、正式発売日の前日午後にソフトが入荷、早くも棚に並ぶ。そうした日時を狙って店内を覗き、話題作を真っ先に借りることができる、というのが自由業の特権だ。
卸元との契約の都合などが関係しているのかも知れないが、この店、メイキングはあるのに本編がなかったりとか、超のつく名作がいつの間にか消えていたりとか、韓国映画コーナーに香港映画が混じっていたりとか、ゾンビ映画が動物パニックもののコーナーにあったりとか(笑)、目立つところに移せばもっと回転するはずの話題作がひっそりとホコリをかぶっていたりとか、ネット上の評判などでクズ映画だとハッキリしている作品が大量に陳列されて案の定まったく借りられていなかったりとか、かと思えば「どう考えても、これは20枚入れなきゃならんだろ」という作品が2枚ぽっちとか、しかも新作コーナーじゃなくいきなりレギュラーコーナーに入れられたりとか……、とにかく入荷&整理が、かなり下手。ただでさえ小さな店なんだから、もっと効率を考えればいいのに、とも思う。
その割に客の入りはまずまず多く、客層もソコソコに良質で「おお、こぉんな目立たないところにあったこれをしっかり見つけて借りていく人もいるのね」と感心させられることもしばしばだ。よって、話題作を観たければ“他の人より一瞬でも早く店へ行き、ありそうもないところまでくまなく探す”ことが鉄則となる。
先だっては、かなり期待していた2作が棚に並べられた直後(それぞれ8枚ずつくらい入荷していて、まだ1本も借りられていない状態)に巡り合わせた。『CUBE』で知られるヴィンチェンゾ・ナタリ監督の最新作『NOTHING』と、キネマ旬報・日本映画脚本賞を受賞するなど昨年の邦画では最大の収穫との呼び声も高い『運命じゃない人』(監督・脚本 内田けんじ)だ。忙しくて観る時間を作れるか不安だったが、この機を逃すとしばらく“誰かに借りられっぱなし”という恐れもある。速攻で借りる。1泊2日。
で、翌日の返却日。念のためチェックしたら、やはり『NOTHING』はALL貸し出し中。ほらね。ところが『運命じゃない人』の方はというと、私が借りた1枚以外は棚の中に座ったまま。をいをい、そりゃないだろう、という感じ。
で、こういう場面における店側の対応シーンでは、意外と競馬ファンや予想家のカン・経験・方法論がものをいうのではないかと思う。もちろん映画に関する知識は必要だろうが、この作品はミーハー向けで無条件に借りる人が多い、こっちも人気作だが劇場で観ちゃった人も多いはず、これはマイナーだけれどいかにも映画好きな連中が喜びそうな内容……といったことを読み、的確な枚数を入荷する技は、まるでブックメイカーだ。
あるいは、思いのほかレンタル率の悪い作品があれば、多少無理やりにでも目立つところへ持って行って、さらには『店長のオススメ』なんてシールを張ったりしてみる。実際、この店でも面出し(DVDパッケージの背中ではなく正面ジャケットが見える形)展示+店員のオススメコメントのある作品は、かなりレンタル率がいい。「いいものを『いい』とアピールして効率よく回転させ、店としての評判を上げる」のは、トラックマンや予想家の仕事と共通する。予想ブーム(?)の昨今、トラックマンや予想家だけでなく多くの競馬ファンが「自分がいいと思うものを相手に納得させる、説得力のある理論&話術」を身につけているのではあるまいか。またスポーツ紙の一面などに踊る扇情的な見出しにも日常的に触れているから、どんなアオリ文句が有効かもよくご存知のはず。私だったら『運命じゃない人』のパッケージには「必見の話題作! 予想外の展開! 日本アカデミー賞脚本賞を受賞した『スゥィングガールズ』より300倍面白いシナリオ」とかアオルよ。ウソじゃないし。
レンタルDVDだけじゃなく、書店やグッズショップなどでも同様のことはいえる。逆に考えれば、競馬ファン的な思考能力に磨きをかけるのは、ショップ経営をはじめとする一般社会に通用する力を身につけることにも通じる、といえるわけだ。
ま、だからといって競馬ファンが経営するレンタルショップに出資するかといわれれば、素直にYESとは言えないけど。
そんな私でも、映画を観るよりも、テレビでスポーツ中継やドラマやニュースやバラエティ番組を観ている時間のほうが長いと思う。で、いま期待しているのがワンセグ。モバイル端末向けの地上デジタル放送である。携帯電話の各キャリアでも、対応機の発売を予定しているそうだ。
当面は家庭内の固定テレビと同じ番組を放送するらしいが、中でもスポーツ中継は携帯端末での人気コンテンツとなることだろう。ドラマやバラエティは録画して観ればいいが、スポーツ中継は、できればリアルタイムで観たいと思う人が多いはず。プロ野球やサッカーの試合はちょうど「会社を出て、家へ向かっている時間帯」にやっていることが多いわけだし。帰宅の電車に揺られながらケータイでテレビを観る、なんてシーンが増えるのではないか。
ただ、野球にしろサッカーにしろ、ケータイの320×240ピクセルの画面で観るのは、ちと辛そうだ。どこに球が転がっているのか、誰がボールを追いかけているのか、そもそも何がどうなっているのか判別できるか、不安もある。
競馬はどうだろう。少なくとも騎手の帽子や勝負服、競走馬のゼッケンなどは、野球やサッカーのボールよりも大きい、あるいはカラフルで目立つはず。直線でごちゃごちゃするとどれがどの馬なんだか判別しにくくなるが、それは大画面でも同じだから、画面が小さくなることのデメリットとは言いにくい。そして、週末の昼間という、外出したくなる時間帯におこなわれているのも競馬の特徴。競馬中継は、ケータイ端末と相性がいい、というか、ケータイで観られる機会の多いスポーツとなるのではないだろうか。
いずれは各局ともモバイル向けに独自のコンテンツを放送するというが、できればそこにグリーンチャンネルも加わって欲しいものだ。いや、競馬中継をおこなっている関東圏・関西圏のU局との共同などで、どこよりも早く、競馬をワンセグに乗っけるべきだろう。それでこそ話題となる。現状では有料の放送であるグリーンチャンネルを地上波デジタルで流すのは難しいのかも知れないが、民放にレース部分を提供するという形式を取り、CSやケーブルテレビで放送しているものとは構成を変えて、中継するのはあくまでレースのみ、合間にはCMを流すといった工夫をすればいい(さすがに小画面でパドックを観たってあまり参考にならないだろうから)。結果やオッズはiモードなどのWEBサービスで見られる。
これにより、外出先のどこででもケータイで全レースを観られて、全レースの馬券も買える、という素晴らしい環境が成立する。もともと「馬券を買うことでレースに参加する」という動的な特徴を持つ競馬がさらにアクティヴなものとなり、他のスポーツ中継をはじめとするあらゆるコンテンツと比べても、競馬とケータイの関係を密接なものとできるはずだ。
その場合に問題となるのが、馬券購入時のインターフェース。現状では「買い目を送信する際の通信料を極力抑える」ことを重視した(そのことじたいはうれしいが)ために、ケータイPATのインターフェースはかなり使いにくいものとなっている。新たなケータイ用アプリケーションを開発するなどして改善し、より使いやすい環境を構築するべきだろう。
また、思い立ったときにいつでもPAT会員になれる&入金できるというシステムも作れないだろうか。ワンセグ対応のケータイを買った、外出した、競馬中継をやっていた、このケータイでも馬券を買えるらしいので買ってみた、という具合に新規ファンを引っ張り込む算段である。オサイフケータイの応用で、なんとかならんものか。
ワンセグ・モバイルTV中継は、直感的な操作で視聴可能な、いや操作という言葉以前の「観る」だけの簡単なものになることだろう。せっかく「どこでも簡単に競馬を観られる」わけだから、同じように簡単な操作でPAT入会&馬券購入も可能とするべきだ。
これはケータイ端末だけでなく、パソコンにおいても同じこと。即PATによって入会&入金の融通は利くようになったものの、馬券購入時のインターフェースについては改善・改良の余地があるはずだ。
3連単の導入により、飛躍的に「買い方」のバリエーションは増えた。1着づけの限定流し、1・2着固定、マルチ……。3場開催で5分おきにレースがあると、何が何だかわからなくなってくる。私自身、競馬データベースソフト『Target』の買い目自動入力や資金配分といった機能があるおかげでなんとか対応できているが、そうでないと「うきぃきゃあー」と発狂寸前になることもあるのではないか。
買い目の入力が面倒、あるいは間に合わなかった、マルチで予想したら買い目が多くなりすぎたのであきらめた……といった理由で買えなかったり買うのを控えてしまったりというファンも多いに違いない。つまりJRAは、それだけの儲けを逃してしまっているということだ。
ここは1つ、JRAあるいはトータリゼータシステム自らが、買い目入力や資金配分、収支管理などの機能を盛り込んだアプリケーションを開発して“無料”で配布するべきではないか。もちろん、使いやすいユーザーインターフェースのものを。IPATフラッシュなどはかなり頑張っているとは思うけれど、もっと初心者の立場に立ったもの、特定のオッズだけをピックアップする機能、あるいは「こういう買い方をすると○点になりますよ」「こっちは買わなくてもいいんですか?」などとコンサルティングしてくれる機能など、さまざまに工夫を凝らしたもの、買い方が簡単なものを作れるはず。できれば1種類といわず、タイプの異なるものを3〜5種類提供して欲しい。さまざまなソフトハウスに発注して競作させる、という手もある。ユーザーはその中から自分にとって使いやすいものを選べばいいわけだ。
なんといっても競馬の主催者にとっては、馬券こそが唯一の売り物。それを売るための工夫・改善は、いくらやっても不足ということはない。それに、こうして既存のモノ(インターフェース)を見直していっそう使いやすいものへと改良していくことこそが、ファンサービスであり、「こんなに簡単に馬券が買えるんだ」と新規ファン獲得にもつながるはずである。