携帯端末の進化(下)
前回に引き続いて携帯電話について。前回は、最近の携帯電話はともかく「いろいろ出来る」ってな感じで終わったが、さて、これ、本当に「携帯電話」と言ってしまっていいのだろうか。そもそも日本人はPDA(Personal Digital Assistants)を使いたがらない、という性質があるようで、電車の中でも携帯電話やノートパソコンをいじっている人は見掛けても、PDAを利用している人はあまり見掛けない。携帯電話の進歩が早かったせいなのか、それともPDAは「中途半端な大きさ」と思われているのか、はたまた他の理由があるのか。いずれにしても、携帯電話に様々な機能を詰め込む方向に進んでおり、よほど「なにか」大きな転換点が訪れない限りは、今後も日本では「携帯端末=携帯電話」という状態が続きそうだ。
もっとも、「端末」が「電話」になったからといって、今の携帯電話が携帯端末に比べて機能的にそう劣っているわけでもない。今のところどうしようもないのは処理能力くらい。Javaアプリなどでちょっとした処理をすると動きが重く感じることもあるが、それは今後の進化に期待したいところである。
また、以前のコラムで谷川氏も触れていたが、なにもソフトを本体側にインストールする必要はなく、ソフトを提供する会社側のサーバで動かす、という方法もある。これは特に処理能力に劣る携帯端末では有効な方法だ。実際にその手のソフトがまだ一部でしかお目見えしていないのでピンと来ないかもしれないが、インターネットの掲示板あたりを想像してみるとわかりやすい。なにか書き込んだり、読むのは端末側のブラウザで、実際にデータを保存しているのはサーバである。掲示板によってはキーワードによる検索機能なども備えているが、この検索を行うのもサーバ側のソフトで、別に検索したからといって端末側に処理の負担がかかるわけではない。つまり、ブラウザを通じてサーバ側のプログラムを動かしている、ということ。この「ブラウザ」の部分が「専用ソフト」などになれば、あとはデータなり画面をインターネット経由で送信するだけ。事実上、どんな処理でも可能なのだ。もちろん、競馬のデータベースにも応用できる。
このように、「処理能力」の部分だけどうにかなれば、今の携帯電話の性能で困ることはあまりない。たとえば、どうしてもキーボードやマウスを繋げたい、と思えば、Bluetoothが利用できる。「携帯電話のBluetooth」というと、PCとデータをやり取りしたり、あるいは携帯電話とPCをケーブルレスで接続して「モデム」替わりに利用する、といったことが中心だが、PC用のBluetooth機器にはマウスもキーボードもある。「携帯電話の大きさ」にこだわらなければ、外部ディスプレイでも接続してPC風に利用することも(作る側がその気になれば)可能だろう。
また、映像関係は既に「ワンセグ」に対応しており、電池の持ちさえ気にならなければ問題ナシ。ネット経由の映像配信も、たとえば競馬なら「JRAレーシングビュアーforモバイル」で(au限定だが)実現されている。携帯電話の通信速度が次世代以降でより高速化されれば、さらに使い勝手は良くなるはずだ。
結局のところ、今の携帯電話はJavaでソフトは動く、ネットを利用すれば重い処理を携帯電話側でする必要はない、入力、出力機器も繋ごうと思えば繋がるはず、大容量メモリも安くなってきた、と、「本体」としてはPC同等、とまでは言わないまでも、ある程度のことはできるレベルには到達している。それでも「携帯電話で原稿なんて書く気しねぇよ…」というのはあるにはあるが、携帯電話用の薄型キーボードと小型マウス、そして(名前は忘れたが)薄くてぺらぺらのディスプレイあたりが実用化されれば、重たいノートPCを持ち歩く必要性はなくなってきそうだ。
さて、そんな時代が来るのかどうか。それとも携帯電話はやはり携帯電話、小型ノートPCはノートPCとして生き残るのか。通信環境は放っておいてもどんどん改善されるはずなので、まずはJavaアプリがどういう方向に進んでいくのか興味深く見ていきたいと思う。現在はIPAT携帯アプリやゲームなど極めて限られた利用法しかないが、将来、Windows用と同じように携帯電話用のシェアウェアが大量に出回る時代が来るようなら楽しみだ。